講義会場の「櫻宴」は、阪神大震災で倒壊した木造の酒蔵跡地に「正宗」名発祥のアイデンティティーを後世に伝えるべく、昔の酒器、広告看板、ポスターなどの展示スペースを設け、レストラン、カフェなどを併設して7年前にオープンした処だ。
櫻正宗はその他「宮水の発見」「協会一号酵母」「高精白米使用」の先駆者としても知られる蔵元だ。受講生の方々はそんな由緒ある蔵元と知ってか知らずか、講義の始まる前からやや緊張気味だ。そんな雰囲気を和らげるように、東灘区長・高橋女史のやさしい励ましの挨拶で第1回の講義は始まった。
講義内容は2000年の取材「明解!灘の酒大学」に詳しく掲載しているので省略するとして、灘酒の興隆要因の一部をご紹介しよう。
<灘酒の興隆要因>
| 立地的要因 |
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六甲の寒風(六甲おろし) |
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寒風が冷房代わりとなり高品質の寒造りを可能にした。 |
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内海の沿岸 |
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酒専用の樽廻船で大量に江戸まで輸送できた。 |
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勤勉な丹波杜氏 |
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比較的近辺から(徒歩で1日)技術に優れた杜氏を得られた。 |
| 原料、技術的要因 |
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宮水の発見 |
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1840年、宮水の発見により、健全で力強い醗酵が可能になり、男性的で秋晴れのする酒が出来た。 |
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良質の摂津、播州米 |
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天下の台所大阪に近く、良質の酒米を大量に得られた。 |
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急流を利用した水車精米 |
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いままでの人力精米に比べ、高精白米の大量生産が可能となった。 |
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吉野杉の良材 |
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吉野杉による大桶(30石入り)は大量生産を可能にした。また杉樽による海上輸送も発展に寄与した。 |
講義の最後に大島氏が面白い話を披露された。
彼は通勤途中に、五感の感覚を研ぎ澄ますため、次のことを実践しているという。
・ 左右の耳で音楽とニュースを別々に聞く。
・ 新聞を読む。
・ 缶コーヒーで香りと味覚をテイスティングする。
・ 携帯で指を動かす。
これらをほぼ同時に行うそうだ。
聖徳太子は10人の話を聞き分けることができたというエピソードはあるが、現代社会において、五感を鍛えるためとはいえ、かくも涙ぐましい努力をされているとは、驚きである。
20代の若い女性にロ利酒の終了後、どのタイプの酒が好きか訪ねたところ、一番飲みやすい酒は純米・生貯蔵酒「神戸桜」だという。これは当SAKE王国の新人君も同じ意見だった。それに対して、30代前後の女性(日本酒大好き)や60代前後の方は純米原酒「焼稀」や大吟醸「櫻華一輪」がいいという。私も後者の支持だ。このように、世代間や飲酒経験で好みが異なってくるので、各蔵元さんも的確なターゲットに商品特徴をアピールしていく必要がありそうだ。
BYヒデ
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さてさて、講義も終わって、1週間後。
新人君を呼び出したヒデさん。
「予告していた、講義の理解度テストやりますよ〜。」
となんだかちょっと楽しそうです。
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