第三回醸造学「お酒のつくり方」 2005年11月16日
会場:沢の鶴
講師:沢の鶴株式会社 醸造部研究開発兼品質管理課
日本酒学講師 今野 浩之 氏
講義内容:世界のお酒/製造の違い/醸造酒の醗酵形式/酒税法による酒類の種類/日本酒醸造の工程/並行複醗酵/清酒の酒類/お酒の名称その他の用語/
清酒の4タイプ分類と表現方法/沢の鶴の特徴。
酒通の方々にこよなく愛されている沢の鶴は、元米屋さんからスタートしているだけに米粒100%の米の旨味を伝えるまじめな酒造りをしている蔵元だ。
「米だけの酒」のブランドに代表されるように、酒米の王者山田錦をはじめとする厳選された酒米と宮水を用い、丹波杜氏伝承の醸し技で灘本流の酒造りを今も守り続けている。
 |
|
| 本日講義された今野氏 |
|
また、昔の酒蔵「沢の鶴資料館」は二十七年前に公開され、阪神・淡路大震災により一時全壊したが、六年前には日本でも数少ない木造建築物の免震システムを施して復興再建され、現在多くの見学者に親しまれている。
なお、沢の鶴には日本酒への深い知識を持つロ利酒師が約百五十名もいる。今回講師を務めた今野氏もその一人で、彼はロ利酒師の上の日本酒学講師という資格保持者だ。そんな彼が教壇に立った。
今回の講義は「お酒の造り方」という1時間ではとても説明できない内容にもかかわらず、とてもシンプルに分かりやすく話されていた。以下はその講義の一部を抜粋したものだ。
■製造の違い
| 醸造酒 |
お酒の原料をアルコール醗酵したもの、またはそれを搾った物。(清酒、ビール、ワイン) |
| 蒸留酒 |
お酒の原料をアルコール発酵し、そのままあるいは搾って蒸留したもの。(焼酎、ウィスキー、ブランデー) |
| 混成酒 |
醸造酒と蒸留酒を混ぜたり、それらの酒に植物の花、葉、果実などを浸し、香りや色を抽出したり、糖や色素などを加えたりした物。(梅酒、チュウハイ、みりん、薬味酒)
|
■ 日本酒醸造の工程
■お酒の名称その他の用語
| 名称 |
原料、主な製造法 |
| 清酒 |
米、米麹、水を原料とし、醗酵させて濾した物。(日本酒:日本国内の原料を使用し、日本で製造) |
| 純米酒 |
米、米麹(農産物検査法3等以上の米を使用)「精米歩合70%以下:H16.1.1 廃止」 |
| 吟醸酒 |
精米歩合60%以下、米、米麹(農産物検査法3等以上の米を使用)、(醸造アルコール)、吟醸香あり |
| 大吟醸酒 |
精米歩合50%以下、米、米麹(農産物検査法3等以上の米を使用)、(醸造アルコール)、吟醸香あり |
| 本醸造酒 |
精米歩合70%以下、米、米麹(農産物検査法3等以上の米を使用)、醸造 アルコール(10%以下) |
| 普通酒 |
上記以外の物 |
| 米だけの酒 |
純米酒と普通酒がある |
| 生_ |
生_使用仕込み酒 |
| 山廃 |
山卸廃止_使用仕込み酒 |
| 生酒 |
搾った後、一切の火入れを行っていない酒 |
| 生貯蔵酒 |
火入れをせず、貯蔵し、詰口時にのみ、1回火入れをした酒 |
| 冷おろし酒 |
火入れをして、貯蔵し、詰口時は火入れをせずに瓶詰めした酒 |
| 濁り酒 |
濁っている酒、(滓がらみ、霞酒) |
| 原酒 |
搾った後、一切の水を入れていない酒 |
| 特別 |
特別な製法を説明表示することにより、特別純米、特別本醸造がある(例:山田錦100%等) |
| 樽酒 |
樽に入れて貯蔵し、木の香りが付いた酒、またこれを瓶詰めした物 |
| 生一本 |
単一の製造場で製造された純米酒 |
<以上、講義の一部を抜粋>
さて、講義も終わり恒例のロ利酒に入ろうとした時、講師の今野氏がこっそりとロ利酒のコツを話し始めた。「皆さん、酒に口をつける前に先ず香りと色を見て特徴を書き止めてください。それから原酒のような濃い酒から始めてはいけませんよ。味がわからなくなりますから。・・・・・…これ以上お話すると皆さん満点になってしまいますので、このくらいにしておきます」(主催者の方が席をはずしている間の出来事だった)
ロ利酒テストは今野講師のやさしいアドバイスのおかげか、わがSAKE王国の新人君も今回の解答には自身満々の様子だ。
 |
|
| 今回も20代の受講生にインタビュー
するヒデさん |
|
前回もインタビューした若い方々に、今回の講義が理解できたかどうかを訪ねてみたら、よく理解できたとおっしゃる。これは新人君も同意見だ(さすがに日本酒学講師の講義ですね)。次に、彼女達に日本酒を自分で買うことがあるかどうかを聞いてみたら、それは無いそうだ。お父さんの酒をいただくとのこと。売場でどの酒を選んでよいのか分からないという。ただし、蔵元の資料館などで試飲体験した美味しい酒のブランドはしっかり覚えているようなので、これは蔵元や売店側の販売方法に問題がありそうだ。そこで、売場に相談員を置くとか、インターネットを活用する(例えば本屋さんで著作者や書名の索引ができるように、ブランド名や蔵元が簡単に検索できるようにする)等、もう少し若者が利用しやすい売場に、業界全体で取り組む必要があるのではと思った。
先日TVで、ワインの履歴がわかるICタグ※付きワイン販売のニュースが流れていたが、清酒もこのようになっていくのだろうか?
※ ICタグ:生産履歴内臓のタグ。生産、加工、流通、消費までの情報がわかるシステムで、消費者が店頭で生産地や生産者の顔などが確認できる。
 |
さてさて、講義も終わって、1週間後。
新人君を呼び出したヒデさん。
「今回もばっちり講義の理解度テスト受けてもらいますよ〜。」
と前回休みだったせいか、心なしか力がこもっているような・・
気になる問題はこちら→ テスト問題を見る
|
|