|
酒の嗜好は時代とともに変わります。明治・大正の頃の酒は濃醇辛口が主流でした。昭和になると中醇甘口の酒がもてはやされ、戦時中に甘口タイプがピークを迎えました。それから除々に辛口タイプの酒に移っていき、平成になると淡麗辛口が主流になりました。
それはその時代の食事のスタイル(欧風化など)やお酒を取り巻く環境(清酒の価格、景気、時代の雰囲気など)が大きく影響している訳ですが、今日のようにあらゆる国からいろんな食材やドリンクが持ち込まれ、清酒の存在すら危ぶまれている時代には味のタイプというより、もっと本質的な問題を解決する必要がありそうですね。
幸い、昨年あたりから灘・伏見の大手蔵10社が中心になって「心・美・体」というスローガンをかかげて、日本文化の見直しなど、清酒の復権に取り組み始めたのは心強い限りです。
今回おじゃましたのは、その取り組みを共にし、また、日本酒造組合中央会の会長をされている辰馬本家酒造さんです。この蔵元は、私が関西に来た頃(約30年前)菊正宗と並んで関西の雄といわれて酒通に一目おかれていました。
その頃の私は「剣菱」しか知らなかったので、「白鹿」の燗酒を飲み、燗酒の美味しさに目覚めた時期がありました。その蔵元が今度、「原点という名の酒・レ(れてん)」を発売しました。「原点の酒」とはどんな酒なのだろうか?戦後の酒が高価だった頃の酒?それとも戦争がなかった古き良き大正時代の頃の酒?これはぜひ確かめねばと思い蔵元を訪ねた。
|