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第4回「杜氏のワザと醸造工程」 【当日の様子】
蔵人とは酒造りに携わる技能集団のことをいい、杜氏はその長をさします。今でこそ例外が多く見られるものの、かつて杜氏や蔵人はほとんどが農閑期に出稼ぎにやってくる農家の男達でした。というのも四季醸造技術のなかった時代、酒造りは冬期に限られていたため、雇う側と雇われる側との需給バランスがうまく一致していたからです。今でも全国にはそうした杜氏集団がいくつかあり、各流派が独自の技を誇りにしながら酒造りを行っています。灘泉の蔵人さんが所属しているのは岩手の南部杜氏組合で、皆さん夏は農業、冬は酒造りに励んでおられます。
高橋さんが生まれ育ったのは岩手県荒巻市。積雪地帯で南部杜氏の故郷でもあるため、酒造りに携わったのは自然のことと思えるのですが、実は高校卒業後ご実家を離れ会社勤めをされていたとか。しかし「父が病気になったのをきっかけに実家に帰ることになりまして。父が蔵人だった影響から、積雪地帯である地元の環境をうまく利用できるこの仕事を選びました」とのこと。今ではキャリア7年目の杜氏として腕をふるう高橋さんですが、全国の蔵での下積み経験も長く、“杜氏になるための試験に何回か落ちて参った”という裏話も聞かせて下さいました。
高橋さんにとって酒造りで最も気を使うのが、米を洗米し、吸水させ、蒸す工程。「酒造りは原料が第一ですから、最初に失敗するとどんなに頑張っても美味しい酒にはならんのです」。精米後の米を水洗いして表面 のぬかやゴミを取り除く洗米工程、その米を水に浸し一定量の吸水をさせる浸漬工程、吸水させた米をこしきで蒸す蒸米工程…。いずれも米の種類やその日の気候、使用目的によって作業時間などが微妙に異なるので気が抜けず、最終的な見極めは杜氏のカンによるところが大きくなってきます。「カンに頼っているなんて、今の社会じゃぁちょっと考えられないかなぁ…」とはにかむ高橋さんですが、そのカンこそが長年の知識と経験が成せる職人芸なのです。
蒸されたばかりの80度程の蒸米を、むしろの上に広げてほぐしたりかき混ぜたりしながら手早く40〜45度位 まで冷まします。適温にならないまま蒸米を酒母造りに使ってしまうと、酵母の増殖がうまくいきません。蒸米は普通 のお米を炊いた時と同じ香りがするものの、触るとネトネト感が少なく、不思議と手にはりつきません。機械化が進み「蒸米放冷機」が普及する中、手作業での放冷は貴重な体験。初めての蒸米の感触に驚かれる方から「こんなアツアツのお米を平気で触るなんて、蔵人さんはスゴイ」と感心される方まで様々な感想が飛び交いました。
冷ました蒸米を麹、水、乳酸、酵母と共にタンクに入れ、櫂と呼ばれる長い棒でかき混ぜて「酒母」を造ります。酒母は「もと」とも呼び、文字通 りもろみの発酵のもととなる種のこと。櫂でタンクの中身をかき混ぜる作業を「櫂入れ」と呼びますが、櫂はずっしりと重く、タンクの高さも女性の肩程あるため、参加者の皆さんも初めは悪戦苦闘状態!やがて「そーれ、そーれ」のかけ声が起こると、皆さんの動きにリズムが出始め、「重かったけど楽しかった」という声が多く聞かれました。ちなみにこの酒母はこの後、仕込み、発酵の工程を経て2月位 に搾られるとのこと。
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