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第5回「日本酒と健康」
約20%が胃、残りが小腸で吸収され、血液に溶け込んだ後大部分が肝臓へ運ばれます。そして肝細胞中でアルコール脱水素酵素(ADH)と出会い、アセトアルデヒドに分解されます。これは悪酔い二日酔いの元凶となる物質ですが、近年は健康に良い部分もあるとの説があるようです。二日酔いの研究と言えば、先頃「酒粕にアルコールの吸収を遅らせ二日酔いを防ぐ効果がある」との記事が新聞に載りました。実験によると飲酒前に酒粕を摂取した人の半数以上で呼気中のアルコール濃度が約2割減ったとか。まさに"酒粕を以て酒を制す"ですね。
アルコールに対する強さの簡単な判定法としてエタノールパッチテストが有名ですが、試した経験のある方は少ないでしょうから道具を持ってきました。ご自分のアルコール耐性に興味のある方はぜひお試しを(→会場では早速皆さん腕まくり・・)。
●判定
お酒を毎日飲む人の方が全く飲まない人より死亡率が低い、という酒飲みには嬉しい調査結果 が、米国保険科学協議会で報告されています。40〜64歳の男性約1600人を対象に、日頃の飲酒量 と死亡原因を10年間観察した結果、日本酒換算で0.4〜1.5合程度のお酒を毎日たしなむ群の死亡率が最も低く、禁酒群と大酒群の死亡率が高い事が分かったのです。同様の研究結果 は約30件報告されています。また国立ガンセンターによると毎日日本酒を飲む人は全く飲まない人に比べ、あらゆるガンを患う可能性が低いとの結果 も出ています。
酒の種類と肝硬変の関係を調べた研究では、日本酒だけが男女共強い負の相関関係があり、肝硬変やガンの死亡率が低いとの結果 が出ています。実際肝硬変の患者数が、日本酒圏の東北の方が焼酎圏の九州より少ない点は興味深い所です。また飲み過ぎが原因とされる肝臓のトラブルに脂肪肝がありますが、近年日本酒中にアルコール性脂肪肝を防ぐ働きを持つ成分(グルタチオン)が見つかり話題になっています。ちなみに肝臓がアルコールを分解する速度は1時間に約8g(体重1kg当たり)。アルコール1合を完全に代謝するには約3時間かかります。
糖尿病は、インシュリンという物質の欠乏によって引き起こされます。インシュリンが欠乏すると血液中のブドウ糖がうまく代謝されなくなって尿中に糖が出、糖尿病の症状になるのです。この糖尿病を防ぐインシュリン様活性を持つ物質が、愛媛大医学部の研究によって酒粕抽出物や生酒から発見されました。糖尿病の原因になると漠然と思われていた日本酒ですが、その"悪玉 説"は覆された訳です。その他日本酒には高血圧予防効果、健忘症(呆け)防止効果 、骨粗鬆症予防効果などがある事も近年の研究で明らかにされています。
日本酒には昔から、民間伝承的に優れた美容効果があるとされています。例えば酒風呂は日本酒の成分が持つ保温・保湿効果 を活かしたもので、身体を温めお肌をしっとりさせてくれます。また米麹に含まれる「こうじ酸」は、細胞を活性化させる作用や、メラニンの生成を抑える事による美白効果 も期待されている事から、養毛・育毛剤や化粧品の原料として使われています。その他肌荒れ防止、アトピーの予防、さらには蛋白質の吸収を促す事による肥満防止効果 等についても大いに期待が集まっています。
最後はアルコール健康医学協会によるお酒のマナー10則をご紹介して、講義をしめくくる事にしましょう。(出典/日本アルコール学会)
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