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第7回「灘の酒の楽しみ方と料理の相性」
料理との相性を語る前に灘酒の特徴についておさらいします。灘の酒は、色は薄く口に含んで微かに香気動き、殊に口触り柔らかく喉を潤して後口中に酒気が溢れ、しかも多少の甘味があって利き方も早く、酔っても醒めの早いのが特徴とされています。また、キリリとした男酒で、すっきりした辛口と、ひと夏おく程に円熟味が増す、いわゆる“秋晴れ”する酒であることも大きな特長です。寒造りに最適な気候、良質豊富な「宮水」、優れた酒米である播州米、六甲山系の急流、そして丹波杜氏の技。これら全てが灘酒の旨さを造り上げているのです。
端的に言えば酒中の糖分が多いと甘く、少ないと辛く感じます。ただ感覚的にはアルコール濃度や温度、そして酸度が複雑に影響しあうので、同じ糖分量 の酒でも感じ方が違う場合があります。また酒の場合甘辛の区分が明瞭ではなく、感覚で判断されがちです。私共は酒質特性と料理特性の相性関係を科学的に体系付けようと、延べ千人以上のモニター調査を含む味覚の検証作業を行ってきました。その成果 の一端をここでご紹介しますが、味には個人の好みや感覚の違いもあるため、あくまで楽しみ方の提案の一つとして受け止めて頂ければ幸いです。
料理との相性について、白鶴では3つの基本形を提案しています。一つ目は"バランス"。酒と料理の味の強さを合わせる事。濃い味付けには濃醇な酒、薄味には淡麗な酒という組合せです。二つ目は"ハーモニー"。酒と料理が互いに作用しあって単品では得られない調和した味を生み出す事。例えば酸味が強い酢の物に甘口の酒を合わせると大変調和がとれます。三つ目は"ウォッシュ"。料理の後味や嫌味を洗い流す効果 です。例えば揚げ物等脂っこい料理の場合、淡麗な酒で口中の後味を洗い流せば、水とは違い次の料理への程良い余韻が残ります。
料理との相性に影響を与える日本酒の特性には次の5つがあります。一つ目は「濃淡」。含まれる酸・アミノ酸等の成分が多いと濃醇、少ないと淡麗タイプになりますが、糖分やアルコール分の量 も関与しています。濃醇タイプはコクが深く豊かな味わい、淡麗タイプは滑らかで軽やかな味わいです。二つ目は前述の「甘辛」。そして三つ目は「香り」です。吟醸香は果 実の様に華やかな軽い香りで、熟成香は老酒・シェリーの様な重厚な香りです。また生酒・生貯はフレッシュで爽快感のある香りを持ち、普通 酒タイプは日本酒本来の穏やかな香りです。
特性の四つ目は「酸・アミノ酸」。酸が多いと酸味が強くなり、アミノ酸が多いと旨味の強い日本酒になります。五つ目は「飲用温度」。温度が高いとアルコールの刺激が強くなり、より辛く感じられます。吟醸香の様な華やかな香りは温度が低い方が楽しめます。白鶴ではまず日本酒の味をこの5つの特性でとらえ、一方で料理を甘味/塩辛味/酸味/旨味/苦味、などの基本的な味で分類し、日本酒と料理の個々の特性や味の相互作用を、飲食テストを通 して一つ一つ確認しました。これまで百種類以上の料理についてこのテストを繰り返しています。
(1)甘い味付けには甘口タイプ (2)濃い味付けには濃醇タイプ (3)塩辛味が強い料理には辛口タイプ (4)旨味の強い料理には濃醇タイプ (5)酸味の強い料理には甘口タイプ (6)香りが控えめな料理には吟醸タイプ (7)脂っこい料理には淡麗タイプや熟成タイプ 例えば(7)を例に挙げれば、「豚の角煮」が当てはまりますが、淡麗タイプの酒を合わせれば角煮の脂っこさを洗い流してくれますが、一方熟成した日本酒なら、その香味が角煮の脂っこさと調和します。要はどういう楽しみ方をしたいかという観点からお酒を選べばいい訳です。
(1)吟醸=華やかな香りと繊細な味わい→淡い色合いで上品な薄手のワイングラス状の器がしっくりきます。(2)純米=一般 に味わい濃醇→色合いが濃く厚手で飲み口の広がっていないぐい呑がマッチ。(3)生・生貯=芳しい香りとあっさりした味わい→透明感のある飲み口のやや広がったガラス製の器がお薦め。(4)辛口=シャープな味わいが特徴→薄くて平たい磁器が合います。(5)旨口酒・甘口酒=口当たりの良さが特徴→厚手のぐい呑からとろりと頂くのがお薦めです。以上、あくまで一つの参考意見としてお考え頂ければと思います。
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