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暖かい春の訪れとともに、およそ半年の長きにわたった酒造りの季節も、ようやく一段落といったところ。各蔵では甑倒し(こしきだおし:最後の醪の仕込を終えたことを祝して催す宴)が滞りなく行われ、故郷を離れて働く蔵人たちもまさに「帰心矢の如し」、ふるさとへの想いが日増しに高まってくる頃でありましょう。
そんな3月も半ばを過ぎた16、17日、神戸市にある灘五郷酒造組合では恒例の「新酒きき酒会」が開催されました。
元来は関係者限定公開の行事ですが、「灘の酒大学」の取材を通じて面識を得た組合の方々より、「17日の午後やったら来てもらってもエエで」と、特別にお許しを頂き実現の運びとなったものです。
ヒデさん他1名による酒材班が、きき酒の会場である灘五郷酒造組合ビルの3階ホール前に到着したのは午後1時。こちらの予想に反し、きき酒を行っている人影は数えるほどしかおられません。人混みに紛れて取材を行う腹づもりだった部外者(=我々)にとっては、何とも足を踏み入れにくい静寂な雰囲気です。
「本当に入ってもいいんでしょうかねぇ?」
と入口付近でためらっていると、幸い今回の取材をOKして下さった組合関係者の方が通りかかり:
「ささっ、どうぞご自由に“きいて”下さい」
と手招きして頂いたのでひと安心。ではさっそくお言葉に甘えて、“きかせて”頂くことにしましょう・・・。
会場には長机が連ねられ、卓上には酒質別に新酒の瓶が並んでいます。出品酒は普通酒28、本醸造24、純米酒25、吟醸酒19の計96種。瓶には蔵名/酒質/杜氏名が手書きされたラベルが巻かれています。
「なるほどなるほど、蔵によってそれぞれ個性が出るものですねぇ〜」
と独り言を発しつつ、慣れた手つきのヒデさんは快調なペースで、一品ずつ順番に“きいて”行きます。
そうこうしているうちに1時半を過ぎ、先程までとは打って変わって来場者が増え始めました。どうやら各メーカーの関係者が本格的に詰めかけるのは、腹ごしらえの済むこの時間帯だったのですね。社名入りの制服を着た各社の若手社員から、一見して蔵人さんと分かる年輩の方まで、あっという間に会場は大にぎわいの様相を呈してきました。
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