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酒材班がゆく Vol.11「初呑切り見学記〜長龍酒造にて」 PAGE4

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■「今の時代にはもったいない酒だと思いますよ」

初呑切りから明けて2日後。この日は、大阪国税局から鑑定官の先生2名が、今年の酒の出来具合を評価するためお見えになる日です。
会議室に並んだ長机には、一昨日タンクから採取された茶色の四合瓶が置かれ、それぞれ通し番号が貼られています。利き酒を控え、職員の方々が1本ずつ原酒を利き猪口に注いでいきます。その中に、酒造りの総責任者である南部杜氏・下坂正幸さん(58)の姿も。15歳の時に酒業界に飛び込んで43年、杜氏になって30年のベテランです。
「昨日飛行機で岩手から来ました。4月から故郷(くに)へ帰っておりましたが、酒がどんな風になっているのか、ずっと気にかかりましてな」
長龍で酒造りを任されて5年。いい米を使い、じっくり日数をかけていい味を出そうという会社の姿勢がうれしいとのこと。そして昨日のうちに出来映えを確かめたという下坂さんに、今年の酒はいかがですか?と伺ったところ、しばらく間を置いて一言:
「今の時代にはもったいない酒だと思いますよ」
自らの仕事に対する誇りと共に、存分に腕を振るわせてくれる雇い主への感謝の念も感じさせる、味わい深い言葉でありました。
テーブルに整然と並べられた利き猪口と利きハキ。
利き猪口の後ろには2日前に採取されたタンク毎の原酒が置かれています。
参考出品のお酒も含めてその数約80種!!

こんなにたくさんの種類を利き分けるって、
「さすがプロフェッショナル!」。
やがて鑑定官の方々が同社の飯田祐子社長に先導され入室、採点についての簡単な説明を受けられた後、白衣に着替えて利き酒のスタートです。
利き酒は[熟度・香り・味・総合]の4項目を判定した上で、1.0から3.0の間で0.5刻みの評点を付けていきます。さすがにプロの仕事、1品当たり30秒前後の速さで次々と手元の採点表を埋めていきます。特に年輩の鑑定官は一通り利き終えた後、水で口中を漱ぎ、再度初めから利き直して自らの評点を確かめる念の入れようで、その真摯な姿勢に正直なところ驚嘆した次第です。
利き酒には同社の竹常務、楠本部長、下坂杜氏も参加。終了後5名の評点シートを集計し、合計点で酒質毎に順位を出します。
我々も、主立った方々が休憩に移られた隙を狙って利き酒を敢行。集計結果と実物を確認しながらプロの舌を盗もうと試みました。ただ哀しい哉、参考酒の「昇道無究極」「純米大吟醸」辺りのあまりのうまさに、つい吐き出せずにゴクリ、またゴクリ。
口直しに用意されている煎餅なんぞをつまみ始めては、もう利き酒も何もあったもんではありません、でした。(^_^;)
休憩後は大きな紙に貼り出された集計結果を前に、参加者及び酒造スタッフで酒質毎の評価会議がスタート。今期商品の味の設計に向けて、ディティールに踏み込んだ議論が1時間以上にわたって繰り広げられました。
そして西日が射す午後5時前、すべての予定が終了。傍観者ながらも密度の濃い時間を共有させて頂いた満足感を胸に、酒蔵を後にする酒材班でした。


鑑定官の方々を間近で撮るのは仕事の妨げになるので遠慮することに。
代わりに白衣を着たヒデさんがその雰囲気を再現してみました。

 
手前が利き酒をしたお酒を吐き出す「利きハキ」。変わった形ですね。


杜氏歴30年。
南部杜氏・下坂正幸さん



下部が膨らんだ利き猪口の形は、香りをかぐのに最適です


鑑定官の方に続いて、長龍酒造の竹口常務、楠本統括管理部長、下坂杜氏も利き酒を始められました。


香りをかぐ、口に含む、舌で十分確かめてから吐き出し、手元の採点表に書き込む。この間およそ30秒。まさに真剣勝負です。


作業中にもかかわらず、我々の細かい質問に答えて下さった管理部品質管理課の吉岡さん


口直しはあられ、煎餅、そして何とゆで卵(しかも固ゆで、半熟の2種!)。業界 では常識になっているとか。


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