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酒材班がゆく vol.14「備前焼の里で王国謹製ぐい呑を作るの巻」 PAGE4
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■備前焼作りの極意は、仕上げの純米酒

「作品の表面を磨いた後、日本酒を塗ってツヤ出しするんです。それもなぜか『純米酒』でないと、カビが生えてしまうんですよ」

へえ〜。思いも寄らないところで日本酒が活躍していたんですね。すべての窯でこの作業が行われているかどうかは定かではないそうですが、高力氏は師匠から教わった大切な決め事として、作品一つ一つに筆と指先で丹念に純米酒を塗りつけているとのこと。

備前焼の酒器が、呑み手の人間様よりも一足お先に旨い純米酒を味わっているとは。それも純米酒じゃないとカビが生えるなんて、焼き物自身がお酒を選り好みしているようで、何とも愉快なお話ですね。

そして高力氏自身も、晩酌では自ら焼いた一番お気に入りの器で日本酒を楽しんでいるとのこと。

「土の器はね、お酒をまろやかにしてくれるんです」

日本酒好きの方なら、この言葉がきっと腑に落ちることでしょう。 ちなみに酒量を訊ねると、そんなには呑めませんとのお返事が。でも「辛口であまり香りが高くないタイプ」がお好みと言う辺り、まさに素朴で飾り気のない備前焼の持ち味を活かす確かな選択眼です。

そして酒と器の話で盛り上がっているさなか、どうやらヒデさん達によるぐい呑作りも無事終了した様子。二人とも、いかにも自慢げな笑みを浮かべています。

「結構上手いもんでしょう。これは良いぐい呑になりますよ」

どうです?焼き上がりが楽しみでしょ

確かに土の風合いと手彫りの落款がほどよく調和して、予想以上に味わいのある作品に仕上がりそう。但しヒデさんの無骨な彫り跡と、みづえの女性ならではの繊細な彫り跡は、明らかに異なる作風になっちゃいました。(ご愛嬌 ?!) さてひとしきり歓談し、そろそろおいとましなければと腰を上げた矢先、高力氏が一冊のノートを取りだしてヒデさんにあるお願いを。

「これからいろんな日本酒を呑んで勉強したいので、もしよろしければお奨めのお酒を教えて頂けませんか?」

このいかにも嬉しいご依頼に、ヒデさんが喜ばない訳はありません。

「ええ、そりゃもちろん。旨い酒のことならお任せ下さい!」

と弾むような笑顔で、カバンから何やら手書きの資料を取り出します。これこそが酒好きなら涎を垂らして喜ぶ(?)ヒデさんオリジナルの「旨い酒リスト」。この秘蔵のメモを眺めつつ、楽し気につぶやきながら次々に酒の銘柄・産地・酒質を高力氏のノートに書き入れ、気が付けば丸々1ページにびっしり。

「ちょっと少なかったですかね?何ならもっと書き入れましょうか?」

(・・・。-; )

特別史跡・閑谷学校。池越しに見えるのは国宝の講堂

旨い酒ノートの作成も終わり、後日の再会を約しつつ今度こそ窯に別れを告げた酒材班。せっかくここまで来たんだからということで、特別史跡の閑谷学校へも足を伸ばし、ちょっとした小旅行の気分を満喫。そしてそれぞれがぐい呑の焼き上がりを胸に思い描きつつ、王国への帰路に着くのでありました。

 
赤松の割り木を少量ずつ、頻繁に下の焚き口に入れていきます


タイミングを計って、上の焚き口から割り木を投げ入れ温度を上げていきます。写真では見えませんが炎の向こうには作品が置かれています



合間に焼き芋作り。「ここで焼くとうまいんですよ」(高力氏)。まさにホクホクで軍手がないと熱くて持てません。
お味は?推して知るべし。ちなみにみづえは狂喜乱舞。


登り窯の前でしばし器談義など


高力氏に頼まれ「旨い酒リスト」を作成するヒデさん


閑谷学校 校門正面


入場時間が過ぎていたため中には入れず遠くから講堂を眺めるのみでした


すべての屋根瓦に備前焼が用いられています
おまけ フォト:
びっしり書き込まれたヒデさん作、旨い酒ノート。高力氏に対する、ヒデさんなりの御礼のしるしでもあります。

編集部より:小さい写真では何が書いてあるやらわかりませんので、ちょっと大きめの写真でご覧ください。読めますか?

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