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| むらなく蒸し上げるため甑の中の米を丁寧にならす |
(わっ、あんな大きなものを一人で・・)
そうです。持ち上げたんです。そしてかまどの上へ乗せ、何事もなかったように甑の位置を整えていきます。
「この中に、さっき洗って水を切った米を入れてって下さい」
ボーっと見ていた助手に中尾さんから指示が飛びます。慌てて米を取りに走ると、タンクと蓋の洗浄を終えた他の3人も駆けつけ、一緒に米を甑へと運び入れます。
甑に敷いた袋状の布の上に、掛米用/酒母用/麹米用の順に酒米を重ね、表面をきれいにならした後、甑布と帆布を被せて蓋をすれば準備完了。
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| 麹室へ上がる大階段。古い酒蔵ならではの風情が |
「蒸しの作業は午前1時からになります。では今から室(むろ)に入ります」
(午前1時から蒸し・・?)の声が耳に残りつつも、全員で大階段を上って2階の麹室へと向かいます。
「じゃあ、皆さんここで脱いで下さい」
言うや否や、おもむろに服を脱いで上半身裸になった中尾さん。あら、ズボンまで・・。
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甑を一人で準備する中尾さん。この後いきなりひょいと持ち上げたのでシャッターチャンスを逃してしまった

十分に水切りした米を甑に入れ、蒸米の準備 |
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「室の中は33℃近くあります。裸でもTシャツ1枚でもお好きな方を」
見れば中尾さんはトレーニング用の短パン1枚の姿。我々は、たるんだ胴回りを女性二人の眼前にさらすまいとTシャツ姿を選択。肘から手にかけてしっかりアルコール消毒してから、全員で麹室の中に入ります。
床(とこ:製麹工程を行う作業台)の真ん中には、昨日の夜中に種付け*と床揉み*が済み、麹菌が繁殖し始めている蒸米の固まりが置かれています。
「これから行う作業は『切返し』と言って、この米の塊をこうやって細かくほぐして、全体の温度と湿度を均一にしていく工程です」
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| 指導を受けながら全員で切返し作業 |
中尾さんの手慣れた動きを見ていると簡単そうなのですが、これが意外に体力を使います。腰を入れてしっかり揉みほぐしていくと、じっとり身体が汗ばみ、さっきまでの寒さが嘘のよう。数カ所に温度計を差し込んで細かく確認しながら、丁寧にかつ力強く切返し作業が進んでいきます。
やがてほぼ一粒一粒の状態にほぐれたものを布でくるみ、ようやく作業は終了。室から出るとすっかり日が暮れようとしています。
「今日の作業は終了。着替えて食事に行きましょう。鍋を予約してますから」
ヤッホー、鍋で宴会だ!肉体労働の後のビールと酒はきっと旨いぞぉ・・。
「あ、それと次の作業は午前1時からなので、夕食の後、風呂で汗を流したらすぐ仮眠をとって身体を休めて下さいね」
(夜中の1時から作業・・)
宴会気分がいっぺんに吹き飛んだ酒材班でありました。
*種付け:もやしと呼ばれる種麹をふるいにかけて蒸米にまんべんなく散布する作業
*床揉み:種付けした蒸米を床に広げてよく揉み、均一に麹菌胞子を蒸米に付着させる作業
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蔵の柱には酒の神様「松尾大社」のお札と御守りが

時折蔵の空間を利用して「酒蔵コンサート」などを開催、地域の人々に親しまれている

麹室に入る前は必ず毎回手洗いとアルコール消毒

切返した麹は布でしっかり覆われる |