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vol.16「酒材班、酒造り体験をするの巻」 PAGE5
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■たった1人の酒造りを始めたきっかけ
初日の夕食はチゲ鍋。一人で酒造りを始めたきっかけなどを語って頂いた

何はともあれ、ぶらぶらと歩いて駅前の鍋料理屋さんへ。メインディッシュはチゲ鍋。「とりあえずビール!」で喉を潤し、中尾酒造「凡愚・純米吟醸」をチビチビやりながら、鶏・豚・魚介たっぷりのピリ辛鍋をハフハフと口に運ぶと、身体の隅々までほっこりと暖まります。
酒が進むにつれ「話するのが好きですねん」という中尾さんの舌は一段と滑らかに。1人で酒造りを始めたきっかけは?という質問にはこう答えてくれました。
「1983年から国税局の『醸造試験場』で醸造と酵素学全般について3年間勉強したので、知識はあったんです。で、実家に戻ってしばらく杜氏達と一緒に造っていましたが、『机の上で研究した位で何ができる』と、若造を小馬鹿にする本音が随所に出るんですわ。逆にこちらは血気盛んな年頃なので、彼らの仕事ぶりが楽をしているように見えて仕方がない。遂にある日ふとした事で衝突し、『すぐに荷物をまとめて帰ってくれ!』ってキレてしもたんです。まあその日は丸く収めましたが、これをきっかけに自分一人の力だけで理想の酒造りをやってみようと真剣に思い始めたんですわ」
なるほど、きっかけとしてはよーく理解できますが、本当に一人でやり遂げてしまったところが、この人のスゴイところなんですね。
この他にも家族の話、互いの仕事の話等で盛り上がり、あっという間の2時間。そして夜中の作業に差し支えないよう20時には宴を切り上げ、部屋に戻って順番にシャワーを浴びて、21時過ぎには仮眠の床に就いたのでした。

■真夜中の1時すぎ、屈強な助っ人現る
出麹作業。左が助っ人の木下 さん

2日目午前1時、仮眠を終えて真夜中の作業がスタート。

ここで1人の助っ人が加わります。近くの居酒屋「牛どん大将」で働く木下さん。0時に店を閉めた後、大抵この時間にやってきては明け方まで作業を手伝う、気が優しくて力持ちを地でいく若者です。ちなみにこうして無償で手伝いにくる“酔狂な”人達が他にも数人いるとのこと。これも中尾さんと酒の魅力がなせる業でしょうか。

 
甑の熱気でゴム手袋を消毒殺菌   蒸し上がった米をスコップで取り出す木下さん

さて、1時半に蒸米開始。蒸し上がるまでの間、麹室へ移動しての「出麹」です。これは完成した麹を室外に出し、低温の場所に広げて冷まし、麹菌の繁殖を止める作業のこと。「よかったらどうぞ」と勧められ2、3粒麹を噛むと:
「あっ、栗みたいな味がして、甘くておいしい・・」
出麹が一段落すると、再び麹室で「盛り」の作業。昨日切り返した麹を小型の床に移して布でくるみ、品温を上げていきます。それが済むと30分程余裕ができたので、部屋に戻って一休み。程なく中尾さんと木下さんもやってきて、しばし談笑します。やがて午前3時前に蒸米終了。甑の周囲を覆ったビニールのカーテンを開け、蓋を開けると、蒸気がホワーっと周りに広がります。中尾さんが米の塊でひねりもちを作って蒸し具合を確かめ、小さくうなずきながら全員に声をかけます。
「さあ、やりましょうか」

 
夜中の1時、黙々と蒸米の準備をする中尾さん


出麹作業。麹室から麹を外に運び出す


昨日の昼、ヒデさんが洗ったタンクで水麹づくり


米が蒸し上がるまでの間、部屋で一休み

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