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vol.19「個性派オヤジ奮闘記〜ある酒屋の取り組み」 PAGE4
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■ジュース片手に酒談義

夜市場で食材を選び、料理法を指定して二人が階下に下りると、若い男女のグループを相手に、竹中さんが軽妙に酒と料理の説明を繰り広げている最中でした。時折女の子たちから楽しそうな笑い声が上がります。そしてひとしきり場が盛り上がった頃を見計らって、ヒデさんの隣の席に。

ヒデさんと酒談義を交わす店主。目の前にはオレンジジュースが

「彼らは合コン中でね。ここで働く男の子が一人あの中にいるので、少し盛り上げてやりました。料理も今夜はかなりサービスしてます」

近頃は若い常連客が増え、彼らからホームページを、せめて掲示板だけでも早く立ち上げてくれと頼まれているとのこと。

「忙しいとなかなか店で酒談義ができないんで、ネット上でじっくり僕と語り合いたいようなんですわ。まあ、何とか頑張って年内にはオープンします」

ぐいぐい酒が進むヒデさんの横で、オレンジジュースを飲む竹中さん。

大七の純米生もととうるめいわしは相性抜群!

「送迎を始めて以来開店中に一滴も飲めないので、試飲用の酒が貯まってしまって・・・。早くもう一人雇って、その子に運転手役を譲りたいんですけどね」

しばらくして、大七の純米生もとがぬる燗で運ばれて来ました。生もと系の酒に深い思い入れがあるという竹中さんの言葉が、徐々に熱を帯び始めます。


合コンの盛り上げに一役買う竹中店主



ちょっとしたライブもできるPA機器も揃ったオーディオから流れるのはジャズからザ・ピーナッツまでいろいろ



一人で訪れても楽しめるカウンター席もあります


■酒販店の熱い思い入れが日本酒の流れを変える

「日本酒はね、今後は“赤ワイン的”な発想が求められると思うんですよ」

一瞬意味が分からず、「??」と顔を見合わせるヒデさんと助手。

「赤ワインは、ぶどうという素材を全部使い切るでしょ。日本酒も、米が持っているおいしさを全て引き出すような、そんな方向へ広がってほしい。米を削り落とす吟醸とは、ある意味対照的な位置にある酒ですわ」

秋鹿純米吟醸槽搾直汲にはあっさりと塩味のきいた山芋の素揚げ

そんな竹中さんにとって、生もと造りこそが日本酒の本来あるべき姿であると広言してはばからない。

「それは何も伝統の技を受け継ぐ云々じゃなく、本当に旨いと思うからです。うれしいことに、奈良の梅乃宿酒造さんが僕の話に触発され、ここ数年本腰を入れて生もと造りに取り組み始めました。そしてこの冬、僕が思い描いた通りの酒造りが行われたので、一升瓶にして1200本分を買い取りました。この酒は売り物にするだけでなく、貯蔵年数による味の違いなどを自分なりにいろいろ試してみたい。考えただけでも楽しみが広がります」

こよなく酒を愛する酒販店主の熱い思いが、蔵元の造りまでも左右し、やがて日本酒の新しい流れを創り出していく・・。全国で増えつつあるこうしたムーブメントの一つが、この店からも確実に始まっているのだなあと感慨を深めつつ、夜半まで店主と酒談義を繰り広げたヒデさんと助手でありました。


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