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vol.7 「昔の酒蔵」復活への道

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沢の鶴株式会社 社屋兵庫・灘といえば、言わずと知れた酒造りのメッカ。日本酒の歴史は、灘の存在を抜きにしては語れません。

そのため灘五郷一帯には、長い歴史を偲ばせる文化遺産が点在しており、1978年より一般公開を始めた「沢の鶴資料館・昔の酒蔵」もその代表的な一つでした。

しかし1995年1月17日早暁、M7.2の激震に襲われた「昔の酒蔵」は一瞬にして全壊。貴重な展示品の数々も、少なからず損壊の被害を受けました。

資料館
「酒文化の故郷とも言えるこの蔵を、何とか元通りに甦らせることはできないものか」。

県や市を含めた関係者一同の熱い想いに支えられ、重要有形民俗文化財「昔の酒蔵」は今、99年春の完全復活に向かって力強く歩みを進めています。

今回は、資料館再建への槌音が響く灘・西郷「沢の鶴」からの酒材記です。


■再建途中の“重要有形民俗文化財”を突撃取材

沢の鶴の創業は享保2年(1717年)。かの八代将軍徳川吉宗の治世下で、大岡越前が江戸町奉行に任ぜられた記念すべき(?)年であり、数ある灘の酒造メーカーの中でも、その歴史と伝統は一際光っています。

今回の目的地である「沢の鶴資料館・昔の酒蔵」は、阪神大石駅からぶらぶらと南へ、都賀川に沿って7〜8分歩いた辺り。まだまだ再建工事の真っ最中で、本来ならとても一般人が入れるような状態ではありませんが、持ち前の図々しさで中を隅々まで見学させて頂きました。

何せ重要有形民俗文化財、そこらの木造建築工事とは気天井の使いようが違います。元の建物を出来るだけ忠実に復元する必要があるため、瓦礫の中から掘り起こした年代物の材木を半数以上も活かし、新しい木材はわざわざ古木風に塗装処理して使用。柱や壁の補強についても、伝統工法の陰で随所に最新の建築技術が駆使されています。

中でも注目を集めているのが、初めて採用される独自の木造文化財免震システム。かいつまんで言えば、免震ゴムの上にコンクリート製の人工地盤を設けて、その上に建物を建てる仕組みです(詳しくは沢の鶴ホームページをご参照下さい)。酒材班は何と床下にまで侵入し、その免震システムをこの目で確かめてきました。

解説図
酒材班がいるスキマ(64cm移動可)を使って地震の揺れを吸収するそうです。

大林組 灘工事事務所長 藤川さん麹室(こうじむろ)を再現するにあたっても、室の保温効果を高めるために天井と床を含めた四方すべてを二重構造とし、間はおがくずで埋められます。実際にそこで麹造りの作業を行うわけでもないのに、やる以上は徹底的にということでしょうか。作り手の意気込みが感じられるようです。

沢の鶴資料館は99年春に開館の予定であり、灘の伝統的な酒造りの流れを、「釜」「麹」「搾り」など6つのゾーンに分けて解りやすく説明してくれるとのこと。完成の暁には、SAKE王国が皆様に成り代わってその中身を詳しくレポート致しますのでお楽しみに。

   大石駅
阪神電車「大石駅」。駅前には酒蔵案内図もありました。さすが、灘の駅。

全景
工事中の沢の鶴資料館全景。屋根まで覆ってあるのは、大切な木材を濡らさないため。
(瑞宝蔵屋上より撮影)


壁の補強用の鉄筋ブレーズ。もちろん完成時には塗り込められ、隠れてしまいます。


1個で100tの重量を支えるゴムと金属の積層構造の免震ゴム。これが計8個使われ資料館を支えます。なんとブリジストン製。


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